「選挙は戦争だ」巷でよく聞かれる言葉です。
一つしか当選枠がない市長選、 これは相手との票の奪い合いですから、戦争という例えは的を射ています。 しかし政令市ではない市議会、区議会、町村議会の選挙は当選枠が多数あります。こういう選挙ではわざわざ票の奪い合いをする必要はありません。自分たちがやるべきこと(ノルマ)をきっちり消化できれば当選が見えてきます。
例えるならば市議選、区議選、町村議選の運動というのは「落穂ひろい」です。 自分の畑に落ちた麦粒を一粒残らず、なるべく大勢の手で拾いきるのが本質です。
ですから私たちのコンサルティングは戦争することを勧めません。 相手が嫌がる奇襲も勧めません。 先に何かを仕掛けると「追われる」という苦しい展開になります。 「先手必敗」が合言葉です。
あなたが選挙に出ると決めた以上は深く追求しなければならないことです。
私たちは以下の表のように有権者の投票動機を4種類に分け、4種類各々について、いかなる方法で対処し、得票に繋げて行くかということを戦略の柱にしています。
一般的に選挙に出る人は、まず現時点で自分が何票持っているかを数えてみるでしょう。上の図で言うとまず(1)の人脈票。家族、親せき、仲のいい友人、仕事仲間…。貴方にとって係わりの深い人たちを書き出します。 さて(1)だけで何票取れそうですか?
もし、この皮算用の段階で、(1)だけで目標得票数が見えてきたら、あなたはもう何も苦労することはありません。日程さえこなしてゆけば当選確実。元々市区町村議会議員というのは、この(1)を制することができる人のためのものでした。
しかし、今の候補者の多くの人は(1)だけでは足りない。自分から派生する人脈をフルに活かしても、目標得票数に届かない。貴方が地元出身で、名のある家に生まれ、家業に携わり、今までにPTAや消防、商工会等の地域団体で活躍の実績があれば、(1)をもっともっと掘り下げればいいでしょう。家族や親戚の動きが肝心ですね。
一方、貴方が他府県の出身で、親戚縁者が一人もいないとしたらどうでしょうか。
あきらめてしまってはそれまでですが、勝機はあります。具体的には地元と関わりの少ない(3)、(4)の人種から票をいただく作戦を立てます。私たちは、実際そういう人を議会に送り込んだ実績があります。
(3)の票は、演出力で取りに行く票ですが、それほど難しいことではありません。我を捨てて、客観的に「選挙向きの自分」を作れる人には、ここから取れる票が眠っています。他府県出身等、人脈の希薄な候補者の場合は、ここを最重点に戦略を立てます。 (4)の票は…。図の通り、「難しく読めない票」ですが、最も厳しい視点で選挙を観察しているという特徴がある票です。知的レベルが高く、難攻不落の有権者層がここにいます。競争率の低い市区町村議会議員選挙では、(4)の票を端から捨てて懸ることが多いですが、私たちは(4)へのアプローチはとても重要な戦略であると考えています。
一般的に「厳しい」と思われがちな人でも、基本的には戦略は立てられますし、候補者の素性に問題がない限りは、誰にでも必ず勝機が潜んでいます。
このように、私たちが貴方とお会いできたなら、まずあなたが上図の座標のどの位置に立てる人かを見極めます。そして、貴方が(1)を掘り下げるのか、(2)へ進むのか、(3)を取りに行くのか、あるいは(4)を取りに行くのか、つまり今後の方向を決めます。そして貴方の情熱と政治信条を演出し、必要な武器を揃え、勝機を導き出します。
それが私たちコンサルタントの仕事です。
「投票動機の分類」の(1)人脈票以外の票は、印刷物や、看板。
つまり、「候補者を見せる道具」の良し悪しが戦果に大きく影響します。
単にデザインが優れているだけでなく、内容となるコンテンツは、その選挙区を深く知り、候補者の能力を見極め、「駅前配布」「戸別配布」等の撒く手段と、撒く時期を想定して、企画しなければなりません。
また市町村議会議員選挙は「競争相手が数十人」という、厳しさがあり、「広報戦術では票が取れない」という常識がありましたが、それは間違いです。
貴方を「数十人の中で一番」の候補に演出するのが、私たちの仕事です。
これは小泉純一郎元首相が発した著名な語録の一つ、
私の地元の地方議員も選挙応援演説の際には必ず使っている言葉です。「最後の最後まで気を抜くな」という単純な意味ではありません。
選挙というものは
尻上がりに陣営の危機感を保ちつつ、士気を上げてゆき、最後の最後で、票田を固めるものです。
「選挙の大勢は告示前に90%が決まっている」
こういう価値観の選挙指導者は私たちの相反であり、まったくの素人思考であると考えます。
選挙は先手必敗。投票前日の夜更けに逆転劇が起こりうるドラマです。時間の使い方ひとつで戦果はかんたんにひっくり返りますし、ひっくり返されることもあります。